「Topsy-Turvy」バスは、アイスクリームメーカー「ベン&ジェリーズ」の共同創業者 Ben Cohen 氏が製作した自動車。米国の軍事予算が増加しているのに、教育予算などが削減されていることに抗議し、増加させる予算と削減する予算を「Topsy-Turvy(あべこべ)」にするべきだと主張するために作られました。
Ben Cohen 氏は2台のスクールバスを入手。それらを1台に接合することで「Topsy-Turvy」を製作しました。
こうして作られた「Topsy-Turvy」は、いかにも重心が上にあって不安定そうに見えます。でも、屋根の上に設置されたスクールバスはエンジニアの手によって極限まで軽量化されているため、見た目よりもずっと安定した走行が可能だそうです。
屋根上スクールバスのヘッドライトは伊達ではありません。ヘッドライトとしての機能は保たれています。
当時は、カメラを逆さまにして撮影した「Topsy-Turvy」の写真も公開されていました。これはこれで走れそうに見えるのが面白いところです。
さて、この「Topsy-Turvy」バス。現在はコロラド州デンバーの中高生に向けたサイエンスツアーの実施に利用されています。
「Topsy-Turvy」バスが現在の目的で使用されるようになったのは、2012年。それ以来、「Topsy-Turvy」バスは1,000人近い生徒に対して「グリーンケミストリー(環境に優しい化学)」について考える機会を与えています。
新生「Topsy-Turvy」バスの燃料は、近郊のレストランから無料で提供された、使用済みの植物油。これを特殊な装置を利用して、燃料に転換しています。使用済み植物油を燃料に転換する際に生じる廃棄物は、肥料に転用。人々が口にする野菜の栽培に使用されます。
ツアーに参加する生徒たちは「Topsy-Turvy」バスに乗り、植物油を燃料に転換する装置や、野菜を栽培する畑といった、“小さなエコシステム”を見学。グリーンケミストリーに対する関心を高めているそうです。
ツアーを企画する非営利団体「Topsy Turvy Teva Bus Tour」は、バスツアーの目的を次のように説明しています。
「最終的な目標は、子どもたちにグリーンエンジニアリングと科学分野に対する興味を持ってもらうことだ。できれば、将来の職業選択につながって欲しいと考えている」
「Topsy-Turvy」バスが、米国の教育予算増加に役だったかはわかりません。でも、少なくとも、米国の子どもたちの教育意欲を増加させているのは間違いなさそうです。