「NAWA Racer」は次世代の超高速蓄電システムを開発するフランスNAWA Technologiesが開発した電動バイク。2020年1月7日から米国ラスベガスで開催されるCESで公開されます。

1回の充電で300キロ走れる電動バイク「NAWA Racer」―その秘密はウルトラキャパシタ
NAWA Technologiesによる電動バイク「NAWA Racer」

外観は1960年代のカフェレーサーにインスパイアされたもの。カフェレーサーは軽量で、カフェから隣のカフェまでの短い距離を移動するバイクでした。そしてこれはそのまま、「NAWA Racer」のコンセプトとされています。


1回の充電で300キロ走れる電動バイク「NAWA Racer」―その秘密はウルトラキャパシタ
外観は1960年代のカフェレーサーデ風デザイン

「NAWA Racer」の最大の特徴は、2つの蓄電装置からなるシステムを搭載している点にあります。システムは上半分と下半分に分かれていて、下半分には従来型のリチウムイオンバッテリーが装備されています。

1回の充電で300キロ走れる電動バイク「NAWA Racer」―その秘密はウルトラキャパシタ
下部分に従来型リチウムイオンバッテリー収納されています

その容量はわずか9kWh。この容量にもかかわらず、街中であれば1回の充電で300kmの走行が可能となっています。その秘密が、上半分に組み込まれたNAWA Technologiesによるウルトラキャパシタにあります。

1回の充電で300キロ走れる電動バイク「NAWA Racer」―その秘密はウルトラキャパシタ
上半部にはウルトラキャパシタを搭載

「NAWA Racer」は回生ブレーキを備えていて、減速時に発電しています。通常の電動バイクではこの電力でリチウムイオンバッテリーを充電するのですが、リチウムイオンバッテリーは充電に時間がかかるため回生エネルギーを効率良く蓄電できません。

その点、ウルトラキャパシタは回生エネルギーを高効率で蓄電できます。NAWA Technologiesによれば、回生ブレーキによるエネルギーの80~90%を蓄電できるのだとか。これが「NAWA Racer」が1回の充電で300km走れる秘密となっています。

1回の充電で300キロ走れる電動バイク「NAWA Racer」―その秘密はウルトラキャパシタ
加速で放出したエネルギーの80~90%を、減速で拾う

「それならリチウムイオンバッテリーは搭載せず、ウルトラキャパシタだけにすれば?」と思ってしまいますが、でもウルトラキャパシタにはためたエネルギーを比較的短時間に放出してしまうという欠点があります。ウルトラキャパシタとリチウムイオンバッテリーを組み合わせることで、双方の欠点を補い合い、効率の高い蓄電システムを構築できるというわけです。

1回の充電で300キロ走れる電動バイク「NAWA Racer」―その秘密はウルトラキャパシタ
理想のマリアージュ

パワーユニットについても少し触れておくと、リアには99hpを発揮するモーターが装備されており、0-100km/h加速では3秒以内を実現しています。ウルトラキャパシタは軽量なため「NAWA Racer」の重量はわずか150kgに抑えられており、この軽さが鋭い加速を実現しています。

1回の充電で300キロ走れる電動バイク「NAWA Racer」―その秘密はウルトラキャパシタ
軽量なウルトラキャパシタが加速にも貢献

この蓄電システムは、信号などでのストップアンドゴーが多い都市部で特に有効。NAWA Technologiesは今後、バイクメーカーや自動車メーカーに同社の蓄電システムを販売していくということなので、都市部に強い電動バイクや電気自動車の登場が期待できます。