充電がいらない電気自動車 Sono Motors「Sion」量産試作モデル公開

ドイツSono Motorsは、同社による電気自動車「Sion」の量産試作モデルを公開した。夏場であれば、充電不要で通勤に利用できる。

充電がいらない電気自動車 Sono Motors「Sion」量産試作モデル公開
Sono Motors「Sion」量産試作モデル

「Sion」は、ルーフ、ドア、ボンネット、リアなど、エクステリアのほぼ全面にソーラーパネルが組み込まれているのが特徴。このパネルが発電した電力でバッテリーを充電して走行する仕組みだ。発電量は天候や日照時間に左右されるが、7月であればソーラーパネルで発電した電力だけで最大で34キロ走れるという。


充電がいらない電気自動車 Sono Motors「Sion」量産試作モデル公開
エクステリアのほぼ全面にソーラーパネルが組み込まれた
7月であれば最大で34キロ走れる

充電がいらない電気自動車 Sono Motors「Sion」量産試作モデル公開
天候&日照時間による走行可能距離
夏はともかく、12月のドイツ(デュッセルドルフ)の日照時間は平均40時間
ソーラーカーの走行は厳しい
(参考:東京は平均166時間)

34キロは短い気がするが、Sono Motorsによればドイツでのクルマ通勤の平均距離は17キロなのだそう。通勤利用であれば充電ポイントを利用しなくても、家とオフィスの間を往復できることになる。日照時間が短くなる季節でも、2月や10月であれば晴れていれば片道は走行可能だ。オフィスの駐車場が日の当たる場所にあれば、仕事をしている間に帰宅用の電力を充電する、という使い方もできる。

充電がいらない電気自動車 Sono Motors「Sion」量産試作モデル公開
「Sion」同士で電力のやり取りもできる

充電ポイントを利用した充電ももちろん可能だ。フル充電すれば最大で250キロまで走行できるので、週末には少し遠出をしたいという場合にも対応できる。充電ポイントを利用する場合、充電に必要な時間は急速充電器で30分、普通充電器で3時間30分、家庭用電源で13時間となっている。

モーターは12kW出力。最大トルク290Nmを発揮するこのモーターにより、「Sion」は0-100km/h加速で9秒以下を達成している。最高速度は140km/hとされた。

充電がいらない電気自動車 Sono Motors「Sion」量産試作モデル公開
まぁ、このクルマの0-100km/h加速を気にする人はいないとは思うが…。

今回公開された量産試作モデルの特徴は、バッテリーがボディに組み込まれていることが一見しただけではわからなくなった点にある。以前公開されていたプロトタイプではソーラーパネルの存在がはっきりとわかったので、街を走るのはちょっと恥ずかしい気もしたが、量産試作モデルであれば普通のクルマ同様に街を走れる。

充電がいらない電気自動車 Sono Motors「Sion」量産試作モデル公開
プロトタイプの画像
ソーラーパネル感丸出し

充電がいらない電気自動車 Sono Motors「Sion」量産試作モデル公開 ― ソーラーパネルをボディ全体に組み込み
こちらが量産試作モデル
ソーラーパネルは目を凝らさないと見えない

欧州での価格は2万5,500ユーロ(約323万円)から。すでにプリオーダーが開始されており、Sono Motorsはこれまでに9,460台受注したと発表している。「Sion」の機能を見れば、この高い人気は納得できる。もちろん使い方にもよるが、近距離の通勤であれば購入後、充電がほとんど不要で利用できるからだ。そう考えると2万5,500ユーロは安いと感じられる。

充電がいらない電気自動車 Sono Motors「Sion」量産試作モデル公開 ― ソーラーパネルをボディ全体に組み込み
荷物もそれなりに搭載できる