電動アシスト自転車の弱点は重量。25キロ以上のものが多く、いわゆる“ママチャリ”(15~20キロ程度)よりも重いので、バッテリーが切れてしまえば、普通の自転車よりも遅い乗り物になり下がってしまいます。また、自転車通勤などで長距離走行する場合、自転車をかついで階段を上り下りするシーンに出くわすことも多いのですが、25キロの自転車を担ぐのはかなりの重労働。お米屋さんで紙袋に入れて販売されているおコメ(30キロ入り)を担ぐのと同じくらいの体力が要求されます。

米国ニューヨークのMaxwell Motorbikesは、このバッテリー問題を解決する自転車「Maxwell EP0」を開発しました。


重さわずか11キロの電動アシスト自転車「Maxwell EP0」
重さわずか11キロの電動アシスト自転車「Maxwell EP0」

「Maxwell EP0」の特徴はその軽さ。シングルスピードモデルであれば重さはわずか11.3キロと、クロスバイクなみの軽さを実現しています。9段変速機付きモデルであっても14キロ。これなら、担いで階段を上り下りしてもそれほど大変ではないでしょう。

担いで階段を上り下りできます
担いで階段を上り下りできます

「Maxwell EP0」はこの軽さを、バッテリー容量を抑えることで実現しました。その代償として、航続可能距離は16キロから24キロ程度に。これは、一般的な電動アシスト自転車の航続距離50~60キロと比較すると、かなり小さい数字です。でもMaxwell Motorbikesによれば、多くの自転車通勤者の走行距離は片道で15キロ程度なのだとか。であれば、その距離をペダルアシスト付きで走行できれば十分。「Maxwell EP0」は、このような割り切りから生まれました。

軽量化の秘密は、小型のバッテリー  航続距離を犠牲にして、軽量化を実現しました
軽量化の秘密は、小型のバッテリー
航続距離を犠牲にして、軽量化を実現しました

バッテリー容量が少ないため、短時間で充電できます。Maxwell Motorbikesによれば、約45分で90%の充電が可能。通勤の往路でバッテリーが空になったとしても、オフィスで仕事をしながら充電しておけば、復路ではアシスト付きでの走行を楽しめます。また、万が一途中でバッテリー切れを起こした場合でも、軽量な「Maxwell EP0」であれば、普通の自転車としても十分なスピードで走行できる。これが「Maxwell EP0」のコンセプトです。

「Maxwell EP0」は家庭用コンセントで充電可能  約45分で90%の充電ができます
「Maxwell EP0」は家庭用コンセントで充電可能
約45分で90%の充電ができます

バッテリーの物理的なサイズが小さいので、一見、電動アシスト自転車には見えません。また、多くのパーツでクロスバイクのものが流用されているので、市販のクロスバイク用のアクセサリーがそのまま取り付けられるというメリットもあります。

バッテリーが小さいので、電動アシスト自転車には見えません
バッテリーが小さいので、電動アシスト自転車には見えません

残念なのはデザイン。イタリア製やドイツ製の電動アシスト自転車と比べると、美しいとは言えません。このあたり、合理的で実用重視の米国人気質を感じます。

ハンドルまわりやケーブルの処理などは、おしゃれとはいえないのが残念です
ハンドルまわりやケーブルの処理などは、おしゃれとはいえないのが残念です

Maxwell Motorbikesは「Maxwell EP0」の市販化に向け、クラウドファンディングサイトkickstarterで出資者募集のキャンペーンを実施中です。1,300ドル出資すれば、シングルスピードの「Maxwell EP0」を入手可能。2段変速機のついたバージョンは2,500ドル。9段変速機では2,800ドルとなっています。キャンペーン終了後の市販価格は、シングルスピード版で1,800ドルとなる予定。

9段変速機付きのバージョン、価格が高過ぎです…。
9段変速機付きのバージョン、価格が高過ぎです…。

「Maxwell EP0」は時速32キロまでペダルアシストしてしまうので、このままでは日本の公道を走行することはできません。もっとも、このデザインでは、仕様を変更したとしても欲しいと思う人は多くはないでしょう。日本のメーカーさんが、「Maxwell EP0」のような米国的な割りきったコンセプトと、イタリア的な美しいデザインをもち、かつ日本の道路交通法を順守した電動アシスト自転車を開発・販売してくれることを期待しましょう。