2014年11月7日、フランス ル・キャステレのテスト用サーキット「ポール・リカール・サーキット」で、自転車による世界最高速度記録が樹立された。新たな記録は333km/h。これを達成したライダーは Francois Gissy さんで、Gissy さんは今回の記録により、自身の持つ世界記録285km/h を塗り替えた。


今回世界記録を達成した自転車には、通常の自転車同様、人間が漕いで前進するペダルも装着されている。だがそれに加え、ロケットエンジンが搭載されており、記録はこのロケットエンジン点火後、約250メートル走行した後に達成された。

世界記録を達成した自転車には、ペダルだけでなく
世界記録を達成した自転車には、ペダルだけでなく

ロケットエンジンが搭載されている
ロケットエンジンが搭載されている

世界記録を樹立した走行では、510馬力を発生する V8 エンジンを搭載した「フェラーリ430スクーデリア」が並走した。ロケットエンジン点火時の噴煙を避けるため、スクーデリアは自転車よりも前方からスタート。だが、自転車は一瞬でスクーデリアを抜き去り、後方に置き去りにして独走。桁違いの速さを見せつけた。

「フェラーリ430スクーデリア」の後方からスタートした自転車は
「フェラーリ430スクーデリア」の後方からスタートした自転車は

一瞬でスクーデリアに追いつき
一瞬でスクーデリアに追いつき

追い越し
追い越し

後方に置き去りにして
後方に置き去りにして

コースを独走した
コースを独走した

呆然とする「フェラーリ430スクーデリア」ドライバー
呆然とする「フェラーリ430スクーデリア」ドライバー

自転車に搭載されたロケットエンジンの出力は560馬力相当。スクーデリアのエンジンと大差はないが、両車の重量差がこの差を生んだという。ロケットエンジンスタート時には、自転車搭乗者には2G 程度の G がかかるそうだ。

多くのサイクリストは、世界記録を樹立した自転車を見て、あまりにシンプルなことに衝撃を受けるだろう。高速走行に必要とされるエアロパーツなどは何も装備されていない。それだけではなく、安全装備も取り付けられていないのだ。映像で見る限り、Gissy さんはロケットエンジン上に直接座り、ハンドルにしがみついて走行している。風圧によってサドルから振り落とされないようにするシートベルトなどは存在していない。そして車体を停止させるためのブレーキも、見た限りごく普通のもの。333km/h に対応した大容量のものにはとても見えない。この自転車に乗る Gissy さんの勇気には脱帽する。


Gissy さんは今後、時速400キロを目指すと述べている。


自転車によるスピード世界記録 時速333キロ!