Oregon Manifest は、「最高の街乗り自転車」コンテストを実施している。これは米国5都市(シカゴ、ニューヨーク、ポートランド、サンフランシスコ、シアトル)で活動する5つの自転車開発チームが、各都市にぴったりの自転車を開発して Web 上で発表。サイクリストによる投票によって No.1 の自転車を決定するものだ。

各チームは、それぞれの都市の特徴にあわせた自転車を発表しているが、なかでもえん乗り編集部の一押しは、シアトルチームが開発した「DENNY」。これは、日本の都市にもぴったりの1台だ。



シアトルの特徴と言えば、雨が多いこと。一説には米国で出荷される傘の9割がシアトルで販売されているとも言われている。そして「スターバックス」をはじめとするカフェが多いこと。サンフランシスコほどではないが坂が多いこと。そして他の都市同様、自転車の盗難が多いことだ。

「DENNY」はこのようなシアトルの特徴に、見事に対応している。

雨に対しては、新開発の専用泥よけで対応した。「DENNY」には、タイヤ上部を覆う重く、悲しいデザインの泥よけではなく、ラバー製のブラシが取り付けられており、これがタイヤに付着した水や泥を落としている。さすが雨の多いシアトル人ならではの素晴らしい発想だ。これだけで水はねや泥はねを100%防げるとは思えないが、軽量化が可能なことや、デザインが犠牲ならないことなど、様々なメリットがあることを考え合わせれば、この選択は正解と言えるだろう。

ラバー製のブラシ状泥よけ  これはすごい!
ラバー製のブラシ状泥よけ
これはすごい!

フロントラックではネットで荷物を固定する方法を採用した。この方法では多くの荷物を運ぶことはできない。だが、ラテやカプチーノなどのカップに入った飲み物を運搬するのであれば、こちらの方がカップが安定する。これも、カフェの多い街ならではの発想と言えそうだ。

缶ビールなども運びやすいそうだ
缶ビールなども運びやすいそうだ

電動アシスト機能も搭載されている。バッテリーは、フロントラックの下に取り付けられており、簡単に取り外しが可能だ。

坂道走行でうれしい電動アシスト機能付き
坂道走行でうれしい電動アシスト機能付き

バッテリーはフロントラックの下に隠されており  一見したところでは電動アシスト自転車だとわからない
バッテリーはフロントラックの下に隠されており
一見したところでは電動アシスト自転車だとわからない

ハンドルは、自転車のロックとして機能する。ハンドルバーは通常の自転車用カギと比べて太いので、容易には切断できず、通常の自転車カギよりも安全だろう。

ハンドルバーはロックとして使用可能
ハンドルバーはロックとして使用可能

カギを落とすことは、もうない
カギを落とすことは、もうない

いかがだろうか?「DENNY」に搭載された機能が、どれもシアトルという街にぴったりのものであることがおわかりいただけたのではないかと思う。そしてこれらの機能は、実は日本でも便利な機能ばかりなのだ。

フロントラックには、右・左折時に使用するウィンカーが付いている
フロントラックには、右・左折時に使用するウィンカーが付いている

投票の結果、勝者となった自転車は、2015年には店頭に並ぶそうだ。個人的には、「DENNY」に勝って欲しいし、製品化されればこの商品を買うだろう。だが、他の街の自転車もなかなかの優れ物。買わないまでも、一度は乗ってみたいものばかりだ。いずれにせよ、どの自転車が勝者となるのか、結果が待ち遠しい。