米国ニューヨーク在住の Dave Weiner さんは、メンテナンスフリーな自転車「Priority」を開発した。現在、市販化に向けて kickstarter で出資者を募集中。7月15日のキャンペーン開始からわずか3日で目標金額(3万ドル)の8倍以上にあたる24万7,000ドル超の資金調達に成功している。


「Priority」は、自転車をよりシンプルに、サイクリングをもっと簡単なものにするプロジェクト。ここ数年の米国における自転車の進化は目覚ましく、多くの新技術が開発され、新しく販売される自転車に次々搭載されている。だが、その多くはプロのライダー向けのもの。一般のサイクリストにはあまりメリットのないものがほとんどだ。この間違った潮流のため、多くのサイクリストは不要な機能が搭載された高価な自転車の購入を余儀なくされている。


Weiner さんは、自転車業界の現在の潮流を変化させ、一般のサイクリストもイノベーションの恩恵を受けられるようにしたいと考えて Priority を開発した。Weiner さんは次のように述べている。

「一般のサイクリストは、忙しい。それが自転車を考え直そうと思った理由だ。我々は一般的なサイクリストに向けて、乗りやすく、定期的なメンテナンスが不要な自転車を再創造したかった」

Weiner さんはまた、次のようにも語っている。

「人生は短い。ダメな自転車に乗っている時間などないのだ」

そう語る Weiner さんが開発した Priority がメンテナンスフリーな理由は、次の4つだ。

1. チェーンではなく、ベルトドライブ

Priority にはチェーンではなく、ベルトドライブが搭載されている。その理由を Weiner さんは次のように説明する。

「1984年、ハーレーダビッドソンはチェーンをベルトドライブに変えた。その理由はなんだろう? チェーンは注油が必要で、錆びやすく、天候の影響を受けやすいからだ。ベルトドライブはより信頼性が高く、より静かで、しかも清潔だ」


ベルトドライブが採用されたことで、Priority の利用者は「注油」から解放される。

2. ボルトを採用することによる盗難の抑止

気に入った自転車のパーツが盗難されるのは悲しいもの。Priority は、パーツが盗まれる可能性を少しでも下げるために、クイックレバーではなく、ボルト締めを採用した。窃盗犯がサドルやホイールなどを盗もうとしても、簡単には取り外せない仕組みになっている。

Priority では、サドルやホイールはボルト締めされた
Priority では、サドルやホイールはボルト締めされた

ボルト締めが採用されたことで、Priority の利用者は、盗難される度にサドルを買いに行く必要がなくなるだろう。

3. パンクレジスタントタイヤ

パンクレジスタントタイヤを装着しても、パンクから完全に逃れられるわけではない。だが、ちょっとしたガラス片を踏んだ程度では、パンクすることはまずないだろう。これにより、自転車修理の回数は劇的に減らせるはずだ。

パンクレジスタントタイヤの採用で、Priority 利用者は、自転車屋まで自転車を引いて歩く苦痛から解放される。

4. コースターブレーキ

ブレーキには、ブレーキレバーやケーブルのない「コースターブレーキ」を採用した。これは、ペダルを逆回転して作動させるブレーキだ。

ブレーキは、レバーやケーブルのない「コースターブレーキ」  (画像中のケーブルは、シフト操作用のもの)
ブレーキは、レバーやケーブルのない「コースターブレーキ」
(画像中のケーブルは、シフト操作用のもの)

「コースターブレーキ」の採用について、Weiner さんは次のように述べている。

「子どものころ、コースターブレーキを使った経験はあるだろうか?ブレーキが効きすぎて、怖い思いをした人もいるだろう。だが現在のコースターブレーキは、当時よりはるかに進化しており、安全に、素早く停止することが可能になっている」

現在のコースターブレーキは、安全に素早く停止できる
現在のコースターブレーキは、安全に素早く停止できる

コースターブレーキの採用により、Priority 利用者は定期的な定期的なケーブル交換から解放される。

Priority の価格は399ドル、出荷予定時期は2015年1月頃となっている。だが、Priority は非常に人気が高いため、出荷時期はもう少し遅くなるかもしれない。