1898年に Ferdinand Porsche 氏によって製作された世界最初のポルシェが、オーストリアの倉庫で発見された。同車は1902年から倉庫に放置されていたためレストアされておらず、オリジナルの状態を維持しているという。

オーストリアの倉庫で発見されたポルシェ1号機
オーストリアの倉庫で発見されたポルシェ1号機

今回発見された電気自動車の正式名称は「Egger-Lohner electric vehicle, C.2 Phaeton model」。通称「P1」と呼ばれる。P1 とは「Porsche Number One(ポルシェ1号機)」を意味するそうだ。製作にあたった「20世紀最高の自動車設計者」である Ferdinand Porsche 氏は、同電気自動車の主要コンポーネントすべてに「P1」の文字を刻印している。


Porsche 氏は、車体の主要コンポーネントに「P1」の文字を刻印した
Porsche 氏は、車体の主要コンポーネントに「P1」の文字を刻印した

P1 に搭載されたモーターの重量は130キロで、その出力は3馬力。短時間であればオーバードライブモードで出力を5馬力まで上昇させ、当時としては破格の最高時速34キロで走行できたという。連続走行可能距離は80キロメートル程度と、現代の電気自動車並みだったそうだ。車重は1,350キロ程度で、そのうちの450キロはバッテリーの重さだったと見られている。

P1 に搭載されたモーター
P1 に搭載されたモーター


P1 のハンドルとメーター  メーターは速度計ではなく、電流計と電圧計だった
P1 のハンドルとメーター
メーターは速度計ではなく、電流計と電圧計だった

Porsche 氏は P1 を駈り、1899年にベルリンで開催された電気自動車のレースに参加。参加車の半数近くが技術的な問題でリタイヤする中、P1 は25マイルのコースを完走し、2位に18分の大差をつけて優勝した。

P1 が参加したとされる電気自動車のレース
P1 が参加したとされる電気自動車のレース

P1 はドイツシュトゥットガルトの「ポルシェ博物館」で、1月31日から展示されている。

ポルシェ博物館に展示された P1
ポルシェ博物館に展示された P1