オール電化を目指すDethleffs「e.home」

「e.home」はほぼ全面ソーラーパネル張りのキャンピングカー。ドイツDethleffsがこのコンセプトカーを発表したのは2017年8月なのですが、最近、一部欧米メディアで再び話題となっています。

オール電化を目指すDethleffs「e.home」
ほぼ全面ソーラーパネル張りのキャンピングカー「e.home」

「e.home」のソーラーパネルは車内で使用する電力だけでなく、走行に必要なエネルギーさえもこのパネルで賄ってしまおうという大胆な発想でデザインされたコンセプトカー。「無給油、無充電でオートキャンプを楽しむことは可能なのか?」を検証する目的で製造されました。


オール電化を目指すDethleffs「e.home」
リアにもサイドにもびっしりとソーラーパネルが

張りつめられたソーラーパネルの面積は31平方メートルにも達します。にも拘わらず、2017年時点での「e.home」の性能は実用には程遠いものでした。乗用車に装備すればフル充電で280キロ走行できるパワーユニットが装備されているのですが、何しろキャンピングカーは重い。しかもキャンピングカーでは室内のエアコンや照明、キッチンの水道設備、スマートフォンの充電などにも電力が使われます。これらにより、実際の航続距離は170キロ程度となっていました。

オール電化を目指すDethleffs「e.home」
この証明もソーラーパネルで発電した電力でまかなっています

オール電化を目指すDethleffs「e.home」
スマートフォンの充電も

この距離では、「ソーラーパネルだけではオートキャンプは無理」という結論で終わってしまうところですが、このコンセプトカーは「ではどうすれば可能に?」を検証するもの。航続距離を少しでも伸ばすための工夫が各所に凝らされています。例えば気温が26度を超えた場合にはこれを蓄熱し、夜間に熱を放出するというシステムを搭載しました。このシステムによって暖房に使用する電力を節約し、その分航続距離をのばす、という努力です。その他にも、様々な工夫が。

オール電化を目指すDethleffs「e.home」
蓄熱タイプの暖房システムを搭載

さて、2019年時点での欧米でのキャンピングカーのトレンドは2種類。ひとつは小さなキャンピングトレーラーです。通勤で使っているクルマで牽引しても走行にあまり影響を与えず、使わないときには狭い駐車場に置いておける、そんなエコなキャンパー。使用時には様々な工夫によって4人程度が宿泊できますが、我慢ポイントも多いのがこのタイプです。

もうひとつはサイズが大きく、室内がゴージャスな“グランパー”とも呼ばれるもの。まるで高級ホテルに宿泊するような居心地を得られますが、消費するエネルギー量もかなり多めなのもこのタイプです。

この2タイプが流行している中で、「e.home」は第3の選択肢として話題となっています。小さなトレーラーほど我慢することはなく、グランパーほどエネルギーを大量に使用しないキャンピングカー。それをテクノロジーの進化によって実現できないものか?ということで、「e.home」および類似のオール電化キャンピングカーの進化状況が注目を浴びている、ということのようです。

オール電化を目指すDethleffs「e.home」
それなりに豪華なオートキャンプを、エコに

「そもそも、ソーラーパネルって本当にエコなの?」など、いろいろな疑問がわいてはきます。でも、キャンピングカー自体はホテルを建設するのと比べればずっとエコなのだとか。だとしたら「e.home」のようなキャンピングカーがより進化して増えれば、それは確かに環境保護につながるのかもしれません。

オール電化を目指すDethleffs「e.home」
ベッドはこんな感じです