メルセデス・ベンツ「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」

メルセデス・ベンツはDesign Essentials 2019で「Vision Mercedes Simplex(ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス)」を公開します。

メルセデス・ベンツ「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」
メルセデス・ベンツのコンセプトカー「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」

1901年の「Mercedes 35PS(メルセデス 35PS)」に対する敬意を表したモデル。このモデルは全く新しいアーキテクチャによりクルマの歴史を大きく変え、その後のクルマのスタンダードになったと言われています。フレームの低い位置に搭載された軽量でハイパフォーマンスなエンジン、前方に設置されたハニカム・ラジエターグリル、多段ギアのトランスミッションなど、今日のクルマの原型といえる斬新なコンセプトが数多く取り入れられていました。名称である「メルセデス 35PS」は、エンジンの最高出力が35馬力であることに由来しています。


メルセデス・ベンツ「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」
参考画像:メルセデス 35PS
(メルセデス・ベンツの公式Webサイトから)

「メルセデス 35PS」の登場から120年近くが経過し、クルマの歴史は再び大きく変わり、新しい時代に入ろうとしています。「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」はメルセデス・ベンツが新しい時代でも、クルマのスタンダードであり続けることを目指すと宣言するコンセプトモデルです。

メルセデス・ベンツ「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」
前を走るのは「メルセデス 35PS」?

「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」の外観は、「メルセデス 35PS」を現代的に再構築したもの。クルマの四隅に取り付けられた大径の車輪やフロアから生えたようなステアリングホイールなどが再現されています。でもそのレトロな外観の中に隠されているのは21世紀の技術。ゼロエミッションのパワートレインと、最新のデジタルユーザーインターフェイス(UI)が備えられています。

メルセデス・ベンツ「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」
レトロな外観と21世紀の技術

フロントにはラジエーターグリルに代わってディスプレイを装備。Mercedesロゴやスリーポインテッド・スターを表示します。状況に合わせ、周囲のドライバーや歩行者に様々な情報を伝えることもできるのだとか。

メルセデス・ベンツ「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」
ラジエーターグリルの位置にはディスプレイを装備

コックピットを見ると「最新のデジタルUIはどこ?」と思ってしまうシンプルな構成。でもこの一見何もないかのようなインストルメントクラスターは、必要なときに必要な情報を表示。これによって、ドライバーは路面にフォーカスして運転可能となります。

メルセデス・ベンツ「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」
シンプルな最新のデジタルUI

アナログ時計の下に並ぶ4つのスイッチは、ラジエーター部分と同じローズゴールドカラー。内外装での統一感を出すとともに、メルセデス・ベンツならではのラグジュアリーな雰囲気を盛り上げてくれます。

興味深いのはトランク。リアには取り外し可能な旅行用カバンが装備されているのです。もともとクルマの「トランク」というのは「旅行用の大きなカバン」の意味。昔の人々がカバンをクルマの後ろに取り付けて旅に出ていたことに由来しています。「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」はこんなところでも、さりげなくクルマの歴史を私たちに見せてくれます。

メルセデス・ベンツ「ヴィジョン・メルセデス・シンプレックス」
いまでも小さめで密閉された荷室を「トランク」という傾向にあります