トヨタが新型「RAV4」4WD開発の裏側を公開

トヨタは新型「RAV4」に搭載された4WD開発のインサイドストーリーを公開した。

トヨタが新型「RAV4」4WD開発の裏側を公開
トヨタが4WD開発のインサイドストーリーを公開

「FFベースでも突き抜けたい」。トヨタの4WD技術者たちは2012年、後輪の左右の駆動力を細かく制御するFFベースの4WDを構想した。しかし当時の社内の要望は「安く・軽く」。従来に比べ高額で重く複雑な機構を持つ新4WDは「過剰な技術」の声が多く、完全なアウェイだったという。


トヨタが新型「RAV4」4WD開発の裏側を公開
後輪トルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」

4WD技術者たちは新4WDの理解者を増やすため実験車を製作し、多くの人たちに良さを体験してもらったという。また、4WD走行が不要な時には後輪への動力伝達を切断する「ディスコネクト機構」で燃費向上を実現した。このような努力を積み上げたことで徐々に応援者が増え、2015年に新型「RAV4」への搭載が決まった。

トヨタが新型「RAV4」4WD開発の裏側を公開
原価低減も実現させた

新4WDの搭載された新型「RAV4」のテストは、北海道 士別試験場 第6周回路で実施された。ここは走ると土ぼこりが立ち、前が見えなくなる未舗装の赤土の林道。雨が降るとぬかるみ溝ができる場所だ。試験場のメンバーはこの荒れた場所の倒木を除き、歩きながら手作業で溝や穴を埋め砂利を敷いた。こうして低中速で走行できる滑りやすい路面が完成。新型「RAV4」はこのコースで「夏冬通じて」鍛え上げられた。

トヨタが新型「RAV4」4WD開発の裏側を公開
士別試験場 開発関係者

良いクルマづくりには図面や数値では表現できない人間の「五感」が不可欠。トヨタでは、「技術開発の匠」と呼ばれる技能者が、感性とセンサーでクルマの静的、動的性能を評価する。新型「RAV4」開発では佐藤茂氏、片山智之氏、佐藤浩喜氏ら技能者3人が連携し、自分の領域を越えてフィードバックした。

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「技術開発の匠」と呼ばれる技能者たち

こうして新4WDは、日常で最も使う30~60km/hで4輸がしっかり接地した、しなやかでキビキビした走りを実現するに至った。そしてこの4WDを搭載した新型「RAV4」は、チーフエンジニアである佐伯禎一氏が求める、「いつでも・どこでも・どこまでも走りの楽しさを感じられるクルマ」に仕上がった。

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