水素燃料電池によって走行する列車「Coradia iLint」が9月17日、ドイツで運行を開始した。鉄道メーカーAlstomが開発したもので、ドイツ鉄道網ゼロエミッション化の推進力になると期待されている。

世界初の水素列車、ドイツでサービス開始 - 電車を走らせにくい場所でも、ゼロエミッションの移動手段を
水素燃料電池によって走行する列車「Coradia iLint」

電車は移動手段のゼロエミッション化では有効な乗り物。だが地方の運行本数の少ない路線や、長距離路線での電化は効率もコストパフォーマンスも悪いため、そのような路線では現在もディーゼル車が多く利用されている。


水素燃料電池によって走行する列車「Coradia iLint」
運行本数の少ない路線で架線を設置・維持するのは、無駄が多い

「Coradia iLink」はこの問題の解決を目指す乗り物。水素燃料電池の活用により、電車に電力を供給する架線がない場所でも、ゼロエミッションでの走行を可能にする。

水素燃料電池によって走行する列車「Coradia iLint」
「Coradia iLink」が水素燃料電池を利用する仕組み

「Coradia iLink」には150の座席が装備されており、最大で300人の旅客を一度に輸送可能だ。最高速度時速140キロで走行できる。

水素燃料電池によって走行する列車「Coradia iLint」
2両編成、合計150席を提供

水素燃料電池によって走行する列車「Coradia iLint」
最大で300人の旅客を輸送できる

水素の充填は、線路脇に仮置きされた移動式の水素ステーションで行われ、フル充填で1,000キロ走行できる。「Coradia iLink」は2021年までに16台が導入され、現在利用されているディーゼル車を置き換える計画だが、その時点で水素ステーションは移動式から常設のものに切り替えられる予定。

水素燃料電池によって走行する列車「Coradia iLint」