BMW Motorradはバイク用ヘルメットのプロトタイプを発表した。ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display:HUD)が搭載されている。

BMW Motorradが、HUD付きバイク用ヘルメットのプロトタイプを発表
BMW Motorradが、HUD付きバイク用ヘルメットのプロトタイプを発表

HUDとは、バイクライダーの視界に走行情報や、ナビシステムによる指示などを投影するもの。これにより、バイクライダーは視線をバイクの計器類やナビ画面に落とすことなく、前方の道路を注視したままで様々な情報を入手可能となる。


HUDがあれば、バイクライダーは計器類を確認するために  前方の道路から視線を切る必要がなくなる
HUDがあれば、バイクライダーは計器類を確認するために
前方の道路から視線を切る必要がなくなる

BMW Motorradが今回発表したHUDは、バイクライダーの右目前に透明なディスプレイを設置したタイプ。このディスプレイに、走行速度、外気温、燃料の残量、選択中のギアなどを表示する。表示される情報は、バイクライダーの必要に合わせてカスタマイズできる。

基本的な表示の例  時速約27キロで走行しており、ギアが1速に入っていることを示す
基本的な表示の例
時速約27キロで走行しており、ギアが1速に入っていることを示す

ヘルメットの前・後部にはカメラが取り付けられており、後部カメラを使うことで、ミラーに視線を移さなくても後方状況を確認できるようになる。カメラには録画機能も備えられているので、ドライブレコーダーとして使用することも可能だ。

右上に取り付けられているのが「フロントカメラ」
右上に取り付けられているのが「フロントカメラ」

左上に取り付けられているのが「リアカメラ」だ
左上に取り付けられているのが「リアカメラ」だ

その他、小型コンピューター、スピーカー、バッテリーなどが組み込まれている。バッテリーは1回の充電で約5時間使用できるという。

とはいうものの、上記に記載した機能はすべて既存のHUD付きヘルメットにも装備されているものばかりだ。今回発表されたBMWのプロトタイプで画期的なのは、バイク間でのデータ通信機能にある。

BMWのHUD付きヘルメットでは  既存の製品が持つ機能に加え  バイク間通信機能が搭載される
BMWのHUD付きヘルメットでは
既存の製品が持つ機能に加え
バイク間通信機能が搭載される

この機能が実現すれば、ツーリング中に、前方を走行するライダーのHUDから後方のライダーにリアルタイムで道路状況(事故車あり・工事中、など)を知らせることができるようになる。仲間からはぐれた場合でも、走行しながらメイン集団の位置を把握可能だ。路肩などに一旦停止し、携帯電話で連絡を取り合う必要はもうない。

また、将来的にはツーリング仲間からだけでなく、近郊を走るクルマやバイクから発信される情報を集めて活用する新たなクラウドソーシングシステムのインフラとなるかもしれないという。そうなれば、例えば一般道の渋滞情報などもより素早く伝達可能になるだろう。バイクライダーがよく利用する道の駅やレストランの混雑状況なども把握可能になるかもしれない。

カーブの先で工事が行われていることを知らせる例
カーブの先で工事が行われていることを知らせる例

BMW Motorradは、このヘルメットの数年以内での市販化を目指すとしている。