三井造船が建造した、かわいい名前の船「おしょろ丸」が、日本で作られた話題の船の中でも特に優秀なものに与えられる「シップ・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。漁船・作業船部門賞だ。

おしょろ丸V世
おしょろ丸V世

おしょろ丸の「おしょろ」は「忍路」と書き、北海道小樽市にほど近い湾の名前。アイヌ語で入り江を指すウショロが由来という。北海道大学水産部付属の練習船として、およそ100年余り前の明治42年(1909年)に初代の船が登場し、多くの学生が乗り組んできた。2014年に三井造船が作ったのは5代目に当たる。


初代おしょろ丸は軽快な帆船だったが、5代目おしょろ丸は出力1,000Kwの三相誘導電動機を2基備えた電気推進船。速力約 12.5ノットで航行する。周辺環境の変化に強い船体も特徴となっている。

船内にはLANをはじめハイテク装備をぎっしり搭載し、研究室や実験室も備え、世界水準の教育環境が整う「理想の漁業練習船」を目指して作られた。乗員定員は99人。

今回獲得したシップ・オブ・ザ・イヤーは、日本船舶海洋工学会が授賞するもので、日本で建造した話題の船から技術、芸術、社会的に優れた船に与えることになっている。

おしょろ丸については、極寒の「極域」まで航行可能な耐氷構造と、電気推進システム、防振・防音設計で高性能な調査船を実現したことが高い評価を受けたそう。