7月2日、大涌谷周辺で火山活動が激しくなった影響を調べるため、国土交通省が調査に乗り出した。すでに現地は、気象庁の発表する噴火警戒レベル「3」の対象となり、入山規制範囲が設定済み。そこで効果的に情報を収集するため、ドローンを投入したのだ。
使ったのは日本製の「Zion QC730」。軽量で、かつ各種のセンサーを積み込むことができる。約1時間にわたって飛び続けられ、約30kmの連続自動航行が可能。簡素な設計ながら測量に必要な機能をすべて搭載した「プロ仕様」の機体という。
開発したのは埼玉県のメーカーであるエンルート。製造と販売は、福島県でテレビ・ラジオ局の支援業務を行うMTS&プランニングが担っている。今回の国交省の調査では、測量を手掛ける国際航業が委託を受け、エンルートとMTS&プランニングがドローンを運用した。
Zion QC730 はその性能を生かし、搭載カメラで大涌谷周辺の規制範囲内を撮影。火山灰がどれだけ降ったか、土砂災害に備えた砂防施設の状況はどうなっているのか、噴気はどんな風に出ているかなどを調べた。
エンルート製のドローンが働いたのは箱根だけではない。鹿児島県の桜島でも、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業の一環として、盛んに噴煙を上げる火口を撮影している。
ほかにも噴火で多くの犠牲者が出た御嶽山に、国交省による調査のため飛んだことがある。小笠原諸島で成長を続ける火山島、西之島をNHKが取材した際も、実はエンルートのドローンを使っている。
火山列島の「最前線」で活躍するドローン。人間には近づくのが難しい場所に素早く飛んでゆき、状況を把握できる小さな翼は、今後の調査や報道でますますその重要性を増しそうだ。