以前、ハフィントン・ポスト創設者であるアリアナ・ハフィントン氏にインタビューしたとき、同氏はトヨタプリウスについて次のように述べていた。

ハフィントン氏:「初期プリウスは、デザインが今ひとつで、まるでゴルフカートのようでした。私はその頃からプリウスに乗っています。いまはデザインも良くなったので、娘もプリウスに乗っていますよ」


そうハイブリッド車は当初、デザインの面ではぱっとしなかった。プリウスファンはゴルフカートのようなデザインに惹かれたわけではなく、その環境性能の高さなどを評価し、我慢して乗っていたのだ。だが現在は、ハイブリッド車のデザインは外見だけではガソリン車と区別が付かないほど改善されている。

同じことが電動アシスト自転車にも言える。大きなバッテリーを装備した電動アシスト自転車は、以前であれば一目でそれとわかった。だが現在ではバッテリーが隠され、一見それとわからないものが増えつつある。特に、海外ではそうだ。

「VELA」もそんな電動アシスト自転車のひとつ。バッテリーは巧妙に隠され、一見、おしゃれなシティサイクルに見えるデザインとなっている。

バッテリーはどこ? ― 電動アシスト自転車「Vela」
バッテリーはどこ? ― 電動アシスト自転車「Vela」

「VELA」の特徴は5つ。1つ目は盗難防止機能。モーションセンサーが搭載されており、誰かが「VELA」に無断で乗ろうとしたら、100デシベルのアラームが鳴り、自転車泥棒に警告を与える。

「VELA」1つ目の特徴:盗難防止アラーム
「VELA」1つ目の特徴:盗難防止アラーム

2つ目は、メインパネルに GPS トラッキング機能が付いていること。利用者は、スマートフォンの Google マップで「VELA」の現在位置を常に把握することができる。自転車泥棒がアラームにひるまずに「VELA」を持ち去った場合には、この GPS トラッキング機能を使って見つけることが可能だ。

「VELA」2つ目の特徴:GPS トラッキング
「VELA」2つ目の特徴:GPS トラッキング

3つ目は電動アシスト自転車としては軽量だという点。重さは約19キロで、短い階段であれば抱えてのぼれる。

「VELA」3つ目の特徴:約19キロと軽量なボディ
「VELA」3つ目の特徴:約19キロと軽量なボディ

4つ目は、タイヤサイズ。電動アシスト自転車に採用されるタイヤは小径なものが多く、長距離移動には向かないことが多い。だが「VELA」は、毎日ある程度の距離を移動する自転車通勤者向けの乗り物。これに対応できるよう、700C サイズのタイヤが装備されている。

「VELA」4つ目の特徴:大径の700C サイズタイヤを装備
「VELA」4つ目の特徴:大径の700C サイズタイヤを装備

そして5つ目が、バッテリー。「VELA」では、シートチューブの中にバッテリーが隠されているのだ。これによりシートチューブの太さは少し太くなったが、一見しただけではここにバッテリーが隠されていると見抜ける人は多くはないだろう。そして、バッテリーを隠したことで、一般的なシティサイクル並みの美しいデザインを維持している。

「VELA」5つ目の機能:シートチューブ内に隠されたバッテリー  これにより、美しいデザインを実現した
「VELA」5つ目の機能:シートチューブ内に隠されたバッテリー
これにより、美しいデザインを実現した

とはいうものの、シートチューブにバッテリーを隠したことには、若干疑問も残る。充電などでバッテリーを取り外し/取り付けするには、六角レンチでサドルを取り外さなければならないのだ。これはかなり面倒くさい気がする。「VELA」が1回の充電で走行可能な距離は32キロ。自転車通勤をする人であれば、毎日バッテリーを充電する必要があるだろう。ということは、毎日サドルをレンチで取り外さなければならないのだ。

充電済みバッテリーを装着するには  六角レンチでシートを取り外し
充電済みバッテリーを装着するには
六角レンチでシートを取り外し

充電済みバッテリーを挿入する  面倒くさい!
充電済みバッテリーを挿入する
面倒くさい!

充電はメインパネルにケーブルを挿して行うことも可能だが、マンションなどに住んでいて駐輪場が屋外にある場合には、この方法は使用できない。

一番下のポートからの充電も可能
一番下のポートからの充電も可能

「VELA」の開発者たちは、デザインを優先させるため、利便性は捨てたようだ。潔さを感じるが、もうちょっと頑張ってほしかったような気もする。


出荷は2015年11月、価格は1,349ドルを予定している。日本で使用するには若干の仕様変更などが必要なので、直接輸入することはできない。輸入業務を行ってくれる代理店の登場を待ちたいが、その場合にはサドルを外さなくてもバッテリーが交換可能な仕組みを検討して欲しいところだ。