日産自動車が開発した「100%電気トラック」こと「e-NT400 テストトラック」の実証運行が始まった。その使命はというと、東京都千代田区で市民の足として使われるレンタル電動アシスト自転車(レンタサイクル)「ちよくる」を運び、区内各所に配置することだ。

日産の「100%電気トラック」、中枢には「リーフ」の部品を生かしてます
日産の「100%電気トラック」、中枢には「リーフ」の部品を生かしてます

e-NT400 テストトラックは、日産のガソリン/ディーゼルエンジン搭載型小型トラック「アトラス」に、電気自動車(EV)「リーフ」のモーター、バッテリーを組み合わせて開発した。


排気ガスを出さない「ゼロエミッション」の小型トラックとして将来の量産化を目指している。都心部のエンジン車乗り入れ制限のある地域にも入っていけるほか、低騒音で、深夜の時間帯でも運行しやすいのが長所。

ちなみに今回の実験で使う車両は航続可能距離が JC08 モードでの約 62km。若干短いという印象だが、30分間でバッテリー容量を80%まで回復できる急速充電機能を備えている。

さて e-NT400 テストトラック が運ぶ「ちよくる」とは、 NTT ドコモと千代田区が2014年10月から始めたコミュニティサイクル。区内約30カ所の駐輪場にある300台以上の電動アシスト自転車を1回(30分以内)100円、あるいは1か月2,000円といった料金で自由に使える。

ハイテクなレンタサイクル「ちよくる」
ハイテクなレンタサイクル「ちよくる」

自転車本体に通信機能や GPS 機能、遠隔制御機能、IC カードリーダーを搭載しており、スマートフォンなどをかざすとすぐに鍵を解除して利用できるハイテクノロジー仕様だ。

ユーザーはどこの駐輪場で自転車を借りてもよく、どこで返してもよい。そうなると当然、駐輪場ごとに自転車の数にかたよりが出てくるが、千代田区はこれを GPS を使って把握し、適当な数になるように再配置する。

色んな場所にある電動アシスト自転車を
色んな場所にある電動アシスト自転車を

適当な数に再配置します
適当な数に再配置します

そこで活躍するのが e-NT400 テストトラックという訳。区内の駐輪場を回る単距離の移動なら、ゼロエミッションの100%電気バスが性能を発揮できる。この再配置の実験は、2か月間行い、得たデータは今後の量産化に利用する計画だ。

ちなみに、ドコモは江東区や港区、神奈川県横浜市などでもそれぞれの自治体と協力してハイテクのレンタサイクルを展開している。ただ、日産はそちらに協力するつもりは今のところないそう。実証実験はできるだけ同じ内容が重ならないようにする考えで、e-NT400 テストトラック を生かすなら何かほかの試みをしたいそうだ。