2015年3月7日に開通する山手トンネル(湾岸線~渋谷線)。開通直前のトンネルを一般公開するイベント「山手トンネルウォーク」が3月1日に開催されました。このトンネルには、1時間に300ミリの“猛烈な雨”を降らす装置が設置されています。

3月7日16時、「山手トンネル」開通
3月7日16時、「山手トンネル」開通

中央環状品川線の山手トンネルは、湾岸線の大井ジャンクションから3号線の大橋ジャンクションまでを繋ぐ約9.4kmの区間。都営地下鉄浅草線よりも深い場所を走り、最深部はなんと地下55メートルに達するというこのトンネルは、中央環状線が“都心部を囲むリング”となるための、最後に残ったピースでした。


「山手トンネルウォーク」は、その一部区間を歩けるイベント。普段は「歩行者立入禁止」の首都高に、大手を振って歩いて入れる、めったにないチャンスです。

普段は歩行者立入禁止の首都高に
普段は歩行者立入禁止の首都高に

どうどうと入っていけます
どうどうと入っていけます

当日の参加者はなんと2万人。駅からトンネルの入り口付近までの舗道では、参加者による軽い“渋滞”が発生していました。山手トンネルって渋滞を解消するための道路だったはず。なのに、開通前イベントで渋滞して、それもクルマではなく人で渋滞していて大丈夫か?そんな疑問がわいてしまうほど、イベントは大人気でした。

参加者で“渋滞”するイベント入口付近
参加者で“渋滞”するイベント入口付近

料金所付近も、混雑しています
料金所付近も、混雑しています

料金は普通車930円、大型車1,850円  今日に限り、歩行者無料です!
料金は普通車930円、大型車1,850円
今日に限り、歩行者無料です!

不安と言えば事故。側道もなく、逃げ場の無い地下のトンネルで、事故や火災が発生したらどうなるんだろう?と、どうしても思ってしまいます。ましてこのトンネル、通常のトンネルよりもずっと長いのです。

イベントではそのような参加者の不安を解消するためか、非常口や非常電話、それに消火設備などの防災設備が展示されていました。

防災設備の例1:非常電話
防災設備の例1:非常電話

防災設備の例2:反対車線に脱出できる非常口
防災設備の例2:反対車線に脱出できる非常口

防災設備の例3:火災時に使用する放水ホース
防災設備の例3:火災時に使用する放水ホース

防災設備の中で、最も注目を集めていたのが「水噴霧設備」。火災が発生した際に、霧状の水を噴霧して延焼を防ぐ装置です。この装置、なんと1時間あたり300ミリという“猛烈な雨”に相当する水を噴霧できます。

霧状の水を噴霧する「水噴霧設備」  地下深くで、1時間に300ミリの“猛烈な雨”を降らせます
霧状の水を噴霧する「水噴霧設備」
地下深くで、1時間に300ミリの“猛烈な雨”を降らせます

2014年6月、茨城県つくば市にある防災科学技術研究所に、1時間に300ミリの雨を再現できる装置が設置されたことがニュースになりました。この実験設備で再現された300ミリの雨の中では、霧が立ち込めているかのように視界はホワイトアウト。車のワイパーも役に立たなくなるそうです。

その最新の実験装置なみの雨を地下55メートルで降らせるのが、山手トンネルの「水噴霧設備」です。火事が起こっても安心と思う反面、水で視界がホワイトアウトしたらどうしようという不安も頭をよぎります。


1時間あたり300ミリの“猛烈な雨”を降らせる「水噴霧設備」

でも、この装置を目にした子どもたちは大はしゃぎ。「来てよかったね!」と喜んでいる子どもも、大勢いました。

噴霧された水は、一瞬で排水されました
噴霧された水は、一瞬で排水されました

折り返し地点では、非常口を経由して反対側の車線へ。こちらは、ちょっとしたモーターショー。3月7日の通り初めで出走する「往年の名車」がずらりと並びます。そこにはホンダの「S800M(エスハチ)」や「NSX type S」、トヨタの「2000GT」の姿が。バイクでは、ホンダ「DREAM CB750FOUR(ドリーム)」の姿もありました。


モーターショー(?)後半は、「次世代のクルマ」。ここには、トヨタ「MIRAI」が展示されています。バイクでは、『Akira』の「金田バイク」のようだと評判のホンダ「NM4-02」が人気を集めていました。

新世代の山手トンネルに、新世代のクルマ「MIRAI」
新世代の山手トンネルに、新世代のクルマ「MIRAI」

未来感たっぷりの「NM4-02」
未来感たっぷりの「NM4-02」

大人気です
大人気です

BRP の「Can-Am Spyder RT」も展示されていました
BRP の「Can-Am Spyder RT」も展示されていました

「山手トンネルウォーク」の締めくくりは、非常階段の通行体験。約200段の非常階段を上って、地上に脱出(?)します。200段など、金刀比羅宮の1,368段に比べれば大したことはないはずですが、ここまで約6キロ歩いてきた足には意外とこたえます。首都高さんもそこは想定しているようで、途中には広めの休憩スペースが。火災や事故で避難しているときにも、きっとここで休憩する人はいるのでしょう。

非常階段通行体験 スタート地点
非常階段通行体験 スタート地点

途中、広めの休憩スペースが用意されています
途中、広めの休憩スペースが用意されています

通行体験のゴールは、山手通りの中央分離帯に設置された非常出口でした。地上は寒く、雨も降っていて、快適な地下が少しだけ恋しくなりました。

ゴール地点では、参加者の方は慌ててジャケットを羽織ったり、  傘をさしたりしていました
ゴール地点では、参加者の方は慌ててジャケットを羽織ったり、
傘をさしたりしていました

この非常階段、チャンスがあれば、一度歩いてみるとよいかもしれません。途中、「このルート、本当にあってる?」と不安になる箇所があるからです。一度経験しておくと、いざというときの不安が軽減できそうです。

天井の低い、狭い通路が続く箇所では、若干の不安を覚えます
天井の低い、狭い通路が続く箇所では、若干の不安を覚えます

山手トンネルの開通は、2015年3月7日の16時です。

イベントには、千葉県のマスコットキャラクター「チ―バくん」も登場しました。
イベントには、千葉県のマスコットキャラクター「チ―バくん」も登場しました。