インド No.1 の IT 産業都市バンガロール。日本人 IT エンジニアも多く住むこの街は「インドのシリコンバレー」とも呼ばれており、IT 企業のオフィスやショッピングモールなどでは、「ここは、アメリカだっけ?」と思ってしまうほどのアメリカナイズされた景色が広がっています。

でも、オフィスやモールから一歩外にでて、自動車で道路を走るとその景色は一変。道路は古い自動車で埋め尽くされ、騒音と渋滞と排気ガスに悩まされることになります。


この状況をなんとかしたいと考えたのがバンガロール在住の Naveen Rabelli さん。Rabelli さんはソーラーカーの実用性を実証するため、インドのバンガロールから英国ロンドンまでのソーラーカーでの旅を思い立ちました。


Naveen Rabelli さんが製作したソーラーカー
Naveen Rabelli さんが製作したソーラーカー

インドの騒音と渋滞と排気ガスの原因になっているのは、オートリクシャーやトゥクトゥクと呼ばれる小型の3輪タクシー。これらは維持経費が安く、インドの庶民の重要な足となっています。でも、排気ガスはクリーンとは言えず、騒音が激しいのがネックです。

Rabelli さんはこれらの3輪タクシーをソーラーカーで置き換えれば、排気ガスと騒音の問題を解決できると考えました。しかし、多くの人々は、ソーラーカーの実用性を疑問視しています。この疑念を払拭するために、ソーラーカーでロンドンまで行き、その実用性の高さを証明するのが Rabelli さんの目指しているところです。

Rabelli さんは、イタリアのバイクメーカーピアッジオの三輪バイク「APE」の中古品を入手。そのエンジンをモーターで置き換え、さらに屋根やサイドパネルをソーラーパネルで覆って電気自動車に改造しました。こうして手作りされたソーラーカーは、太陽光による8時間の充電で約80キロの走行が可能だそうです。

Rabelli さんが入手した中古の「APE」
Rabelli さんが入手した中古の「APE」

この「Ape」をソーラーカーへと改造しました
この「Ape」をソーラーカーへと改造しました

バンガロールからロンドンまでの距離はおよそ1万キロ。バンガロールを出発してムンバイへ陸路を走り、そこからフェリーでイランへ。イランからはトルコ、ブルガリア、セルビア、ハンガリー、オーストリア、ドイツを経て、フランスのカレーへ。そこからフェリーで英国へ渡るという旅程です。

Rabelli さんは、この旅のキャッチコピーを、

「1台のトゥクトゥクで、10か国におよぶ1万キロの旅を、0エミッションで実現する」

と定めました。

Rabelli さんによる、10か国にわたるおよそ1万キロの旅程
Rabelli さんによる、10か国にわたるおよそ1万キロの旅程

Rabelli さんはこの旅に100日かかると試算。その旅の費用を集めるため、現在トラベルファンディングサイト TREVOLTA で出資者を募集しています。資金調達に成功した場合、2015年の夏にはロンドンに向けた旅に出るとしています。

さて、この話を聞くとどうしても思い出してしまうのが、テレビ番組『ザ!鉄腕!DASH!!』に登場した「ソーラーカーダン吉」。こちらは、中古で購入したダイハツ ハイゼットを TOKIO のメンバーがソーラーカーに改造したものでした。晴海埠頭をスタートし、日本一周を目指したダン吉の1日の走行距離は100キロ程度。日本一周を果たしたときの総走行距離は1万7,704キロだったそうです。

ダン吉が、ソーラーカーによる1万7,704キロもの旅を成功したのであれば、Rabelli さんのトゥクトゥクが1万キロの旅に成功する可能性も、技術的には高いはず。是非、完走を果たして欲しいものです。がんばれ、インドのダン吉!

ところで、Rabelli さんの挑戦の唯一の懸念点は、資金が思ったほど集まっていない点なのだそう。現時点では、目標金額の16%しか調達できてしません。資金調達に失敗した場合、Rabelli さんはしばらくフルタイムで仕事をしてお金を貯め、貯金額が目標額に達した時点でロンドンに向けて旅立つことになるそうです。その場合、出発は数年後になってしまうかもしれないと、Rabelli さんは語っています。

がんばれ、Rabelli さん!  がんばれ、インドのダン吉!!
がんばれ、Rabelli さん!
がんばれ、インドのダン吉!!